樹状細胞・活性化リンパ球と温熱治療でがん消失。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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◆免疫療法とハイパーサーミアの併用によって改善した症例を挙げて、治療経過を説明してください。
平成16年6月より平成23年4月の間に1291例の癌の進行再発患者に温熱・免疫療法を施行しています。この内176例の有効(半分以上縮小または、6ヶ月以上不変)。32例に全再発病変の完治を認めています。 大腸がん多発転移の45歳女性の例を挙げます。温熱治療と未熟樹状細胞の腫瘤内局注と活性化リンパ球により、頸部および腹腔内再発が完全奏効(すべての病変が消失)した症例です。従来の免疫細胞療法単独に比べ、温熱療法を併用することにより抗腫瘍効果が著しく増強されました。温熱療法により、がん組織の腫瘍抗原提示能の増強と免疫担当細胞の増加および活性の上昇が、免疫細胞療法の効果を増強したものと思われます。樹状細胞は頸部しか投与していませんが、頸部だけでなく腹腔内の転移もすべて消失しました。再発がんの多くでは完治したといっても、がんがどこかに潜んでいて、またいつか出てくることがあります。それを防ぐためにも副作用の少ない治療は重要です。 ●2003年11月、海外で下行結腸がんに対し、左結腸切除術を受け、moderately differentiated adenocarcinoma, n+ 22/30。 IVHポートを介した術後化学療法を施行した。 ●2005年9月、左鎖骨上リンパ節転移、径30mm。腹腔内大動脈周囲リンパ節多数腫大を認め、免疫治療を希望して来日。 ●2005年10月末受診。左鎖骨上に径40mmと30mmの腫瘤を認めた。 ●同年11月より温熱治療を週1回、当初は頸部、後半は腹部に計11回施行。 ●未熟樹状細胞の鎖骨上転移リンパ節への局注を2回、活性化リンパ球の点滴投与を7回施行した。 ●TS-1、1日80mgを4日間投与しては、免疫療法をはさんで3日間休薬することを繰り返した。2006年1月初めには鎖骨上腫瘤は消失し、CTでも頸部、腹部いずれのリンパ節の腫脹も認められなかった。 ●CEAは2005年10月16.7ng/mlが、2006年1月1.1ng/mlと正常値に低下。またIAPは、2005年10月1,118μg/mlが、2006年1月228μg/mlと正常値に低下した。 ●1月末、帰国された。 ●同年4月に再来日し、CTおよび全身PET施行するも、頸部、腹腔内ともに腫瘤の再発を認めなかった。
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