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  免疫が3大療法の効果を増強し、再発を抑える

 
 

◆ 手術、放射線、抗がん剤という3大治療法は、それぞれ効果と精度のより高い方法が開発されていますが、がんを根治することは困難です。そこで「がんの集学的治療法」に真価を発揮してほしいのですが、必ずしも好結果に結びつくわけではありません。患者さんは医師以上に、免疫療法や温熱療法に期待しています。武田先生が実践している集学的治療法とは?

 
     

まず三大標準治療(手術・抗癌剤・放射線)の専門医であることと、免疫・温熱療法の専門医であることです。両方がわからないと正しい集学的治療はできません。

現在、がんを完全に根絶する治療法はありません。早期がん患者に完ぺきな手術をしたとしても、抗がん剤で完治したと言われても、再発することはよくあります。その先生は「95%再発しないのに、たまたまだ。再発予防治療はいらない」などと言うが、5%に当たった患者さんにとっては100%と同じなんです。ドクターの言うガイドラインと患者さんが生きていくための選択肢は別です。ガイドラインの他にオプションも必要です。

3大療法が大事であることは言うまでもありませんが、それで完治しないがんが出てくることも事実。免疫療法や温熱療法は、3大療法の弱点を補い、効果を増強する重要な働きをしてくれます。この二つは副作用の少ない、患者さんに優しい治療法であることも特長です。

従来の治療に免疫療法を併用して生存率が向上することはよく知られており、多くの報告もあります。(国立がんセンターや千葉県がんセンターからも論文あり)
一方、免疫だけで治ると言われて、手術できる時期を失してしまうことはいけません。大事なことは3大療法に免疫、温熱などの治療を併せて、その患者さんに合った最適の治療法を考案することです。しかもその病状や、抗がん剤を使いたくないなどの患者さんの希望にも合わせて、治療法の変更もできなくてはなりません。

◆ がんの集学的治療の中で、免疫治療や温熱治療が位置づけられていないために、患者は戸惑い、過度の期待や不安を持つことになります。治療法を選ぶのは患者ですが、その前に詳しい説明がほしいですね。

 
     

例えば、免疫療法を行っている施設から当院に来られた乳がんの患者さんで、そこの施設の免疫療法で治らなかったから、さらにいい免疫療法を受けたいと受診された方がいます。十分に乳房温存手術ができる方ですが、手術が嫌だという理由で免疫療法を受けていたのです。しかし、乳がんに対する基本的な薬も使われていない。そこの先生は乳がんの専門家でもなく、リンパ球は自分の施設で培養せずに、よそから購入して使われていたようです。これは患者さんにとって気の毒なことです。乳がんの専門医から、われわれのように免疫療法にまともに取り組んでいる施設まで同じように見られては困ると思いました。

私は乳がんの専門医でもあります。その患者さんに手術を勧めました。手術も抗がん剤も嫌だと言われると、手術の必要性とこういう抗がん剤を使えば副作用も少ないとも言いました。「そういうことを十分承知した上で、たとえ命が危なくなっても手術も抗がん剤もしたくないというのだったら仕方がないが、あなたの場合は手術した方がいいですよ」と説明し、結局手術を納得してもらいました。他にも、手術を勧め、手術をしたあと免疫治療を実施した方がおられます。免疫治療は手術、放射線、抗がん剤に取って代われるものではありません。しかし、それでも再発する症例がたくさんあり、その再発を抑えることには非常に有意義なのです。

大学病院などで、免疫や温熱療法に詳しい医師が少ないため、自分が知らない治療法を無視することは大きな問題です。一方、民間で免疫療法を行っている施設において、大学などでがんの臨床治療の経験がない医師が、抗がん剤や手術など本来とるべき手段が分からず、ただ自分の施設の免疫を勧めるというのは、もっと困った問題です。したがって、担当医師の臨床がん治療の履歴・資格(癌の専門医)は重要なポイントです。 インターネットや自前の本では考えられないいいデータを発表している事がよくあります。大事な事はその内容がちゃんとした医学会や学術論文に発表されているかどうかということです。

   

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武田 力さん
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第2章 「免疫細胞療法」とは?
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