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がん治療最前線
  ハイパーサーミア(がん温熱治療)  
   
 
名古屋前立腺センター温熱・免疫療法研究所所長 上田公介氏  
特別講演
「あきらめるのは早い。まだまだあるぞがん治療」

名古屋前立腺センター温熱・免疫療法研究所所長
上田 公介

 

今年の1月、中学校の同級生が「膵臓がんで肝臓に転移していて、もう半年の命と言われたが、何とかならないか」と、私のところへやってきた。そこで、ジェムザールという抗がん剤を100分の1ほどに薄めて、普通は効くはずがないと思われる少ない量で、週に1回の外来治療を始めた。そうすると、この6月初めのがんセンターでの検査で、がんがほとんど消えていることが分かった。

がんセンターや大学病院などで、「もうこれ以上の治療方法はありません」と言われたら、逆に「しめた。温熱や免疫療法があるぞ」と思ってください。つらい強力な抗がん剤投与や、命を短くするような手術を受ける必要はない。かえって免疫力を低下させて、寿命が縮まるだけだ。がんは上手に治療すれば、意外に長生きできる。焦って負担の大きい治療を受ける必要はない。

進行性尿路上皮がんは対象患者に高齢者が多く、また術後再発や放射線治療後の再発性が高く、その治療には難渋する。当科では進行性がんに対して、副作用の少ない低濃度抗がん剤併用局所ハイパーサーミアを行ってきた。対象は進行性尿路上皮がん10例で、腎孟がんが2例、膀胱がんが8例。治療成績は、10例中3例にCR(著効)が得られ、PR(有効)が3例、NC(不変)が4例だった。低濃度抗がん剤併用局所ハイパーサーミアは副作用が少なく、治療効果に優れ、長期生存が得られる方法と考えられる。今後はハイパーサーミア増感剤として、一層効果の期待できる薬剤との併用を試みる予定だ。

ただし、すべてのがんが温熱療法や抗がん剤で治るわけではなく、手術で治るわけでもない。これから医療は遺伝子に基づき、一人一人にどういった治療が最も適しているかを探すことが重要な仕事になってくる。要するに、効かない抗がん剤、むだな治療をするのではなくて、一人一人に応じた有効な個別治療が21世紀の治療だ。

私たちは遺伝子を、まだそこまで応用できない。まず、良い治療法を見つけてくれる先生と出会うかどうかで寿命が決まる。主治医と患者さんが鍵と鍵穴のようにぴったり合うと、病気は治るものだ。決してあきらめる必要はない。

   

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ハイパーサーミア 最新がん治療の選択 ■特別講演「進行消化器がんの集学的治療−とくに温熱療法と免疫療法の実際について」
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