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特別講演1 「がん難民にならないために」 京都府立医科大学名誉教授 | |||
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普通、患者はまず、大病院などで標準治療を受けるが、再発してしまうこともある。医師はあくまでもがん組織の縮小を目指すが、やがてお手上げになると、治療への意欲が薄れ、最終的には患者をホスピスに送るしかなくなる。しかし、がんとの闘いに敗れた患者は、別の治療を求めて難民のようにさまようことになる。日本では大病院が、がん難民を作り出しているように思える。 アメリカのあるがん専門病院では、患者が入院すると、腫瘍外科、腫瘍内科、放射線科、麻酔科、薬剤師、看護師、ソーシャルワーカーなどが集まり、治療方針を検討。その結果を患者に伝え、同意を得て治療が始まる。いわゆるオーダーメイド治療で、経過を観ながら検討が続けられ、治療内容の変更がスムーズに行われていた。日本でも外科治療・化学療法・放射線治療の専門家が患者の治療方針を決めることになっているが、どちらかといえば縦割りで、オーダーメイドとは言えないのが現状だ。 がん組織は血流が不十分で加温しやすく、ハイパーサーミアで加温を繰り返すことで、腫瘍の縮小、延命、QOL(生活の質)の向上が期待できる。さらに、がん組織の温度が上がると、抗がん剤の取込量が上昇するほか、免疫力も倍増し、抗がん剤の副作用も軽減できる。ハイパーサーミア自体には副作用はほとんどなく、健康保険も適用され、患者に優しい治療法だ。 決して万能な治療ではないが、がん細胞が大きくなるのを抑えることができる。現在のがん治療では、がん細胞の縮小がなければ無効となれるが、「不変」でがんと共存できるようにするもの大きな治療効果だと思っている。なによりもハイパーサーミアを根気よく続けることが大切だ。 | ||||