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特別講演3 「外科的治療とハイパーサーミア〜直腸がんで肛門を残すために」 群馬大学大学院病態総合外科学准教授 | |||
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骨盤に囲まれている直腸の進行がんは、局所再発率が高い。つまり、がんのあった場所に再発する例が多い。このため、肛門を取って人工肛門を作る直腸手術が行われている。しかし、手術だけではがんの根治性と生活の質の低下や膀胱障害や性機能障害を防ぐと言った術後の機能を両立するには限界がある。その対策として、手術前にほかの治療法をしておくこと。つまり術前療法と組み合わせた治療が必要になる。具体的な治療法は、放射線治療と温熱療法、化学療法の三つの組み合わせ。そして手術としては可能な限り肛門を残しながら自立神経を温存する術式を選択している。 群馬大では、20年以上前から術前の放射線療法を行い、96年から温熱療法を加え、02年から夜間化学療法を併用している。具体的な治療は、5週間をかけて三つの治療を並行して行い、いったん患者さんには退院してもらい、7週間ほど期間を置いて手術を行う。 術前治療の効果だが、放射線だけの時はがんが消失しなかったが、3者併用では42例中、顕微鏡で見てがんが認められない例が45%。治療無効例が放射線のみでは47%あったのが0%になった。そのままでは取りきれない進行がんでも、術前療法によってがんを小さくすれば、肛門温存術の可能性が高くなる。 具体的な大学のデータでいえば、術前治療をした49例のうち33例が手術を行い、そのうち、肛門温存ができたのは82%にも上っている。 | ||||