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特別講演4 「進行口腔がんに対する超選択的動注化学療法とハイパーサーミアの併用治療」 横浜市立大学大学院医学研究科教授 | |||
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口腔がんの特徴は、胃がんや肺がんなどと違い、目で見ることができるが、口内炎や歯槽膿漏などと間違えてしまうケースもある。口腔がんの発生原因は遺伝的要因もあるが、飲酒や喫煙、口腔環境などが要因となる。 腫瘍が大きい場合や皮膚まで浸潤している場合、手術では皮膚まで切除しなければならないが、機能障害や審美障害が伴うことになる。このため、口腔がんに求められている治療は、生活の質の向上という観点から切らずに治す方法。その治療戦略の一つががんに栄養を補給している動脈にカテーテルを挿入して抗がん剤の投与し、同時に放射線治療も行う「超選択的動注化学放射線療法」だ。この特徴は、がん細胞への薬剤注入濃度が高くなり、投与量も少なくて済むことから副作用も軽減できる点だ。手術可能な患者さんでも、この療法を行ったことで、手術が回避でき、機能も温存できた症例もある。 ただ、この療法はがんが発生した場所(口腔)が対象で、頸部のリンパ節などへ転移している場合には治療は困難となる。その際にはハイパーサーミアを併用し、治療成績の向上を目指している。 リンパ節に転移した患者さんに併用治療を行った計7例の臨床データがあるが、組織評価が可能だった5例の治療結果は、原発巣の完治が100%、転移リンパ節の完治が80%だった。予後についても生存者は7例中4例で、死亡の3例は肺転移が2例、病気とは無関係の事故死が1例。こうした結果をみれば、併用治療することで、転移リンパ節はいずれもコントロール出来ていると考えている。 | ||||