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特別講演「肛門がなくならない直腸がん治療」
術前治療重視で肛門温存

群馬大学医学部助教授
浅尾 高行

 

進行した直腸がんでは、がんと一緒に肛門を取り、人工肛門(ストーマ)を作る直腸切断術が行われている。便をためる袋を取り替えるので不自由を強いられる。可能な限り肛門を残し、膀胱や前立腺の障害を防ぐ自律神経温存手術が望ましい。しかし、がんの根治性と術後の機能を両立するには、手術だけでは限界がある。手術前に他の方法で治療しておくことが効果的だ。

群馬大学第一外科では放射線科と協力し、1980年代から術前の放射線療法を行い、96年から温熱療法を加え、02年から夜間化学療法を併用している。

化学療法を夜間に行うのは、抗がん剤が夜によく効き、昼間に細胞が修復されて副作用が抑えられ、抗がん剤の濃度が高い状態で照射を行うためだ。放射線だけの時はがんが消失することはなかったが、3者併用の術前療法では42例中、顕微鏡で見てがんが消失した例が17%、CTや内視鏡でがんが認められない例が45%。治療無効例が放射線のみでは47%あったのが0%になった。

進行がんでも、術前療法によって肛門温存術の可能性が高くなる。集学的がん治療を行い、術前温熱化学放射線療法により、直腸切断術がなくなる日を目指していきたい。

   

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