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  対話の中から「生」への前向きな気持ちを引き出す

 
 

◆治療現場で患者さんと向き合うときの基本的な姿勢は。

以前から、西出病院では患者さんの精神面のケアを大切しています。ハイパーサーミアを受けに来院される患者さんの多くは、末期がんの方々です。治療を行うに当たって、私が常に目標にしていることは、「いつ死んでもいい。長くは生きられない」と全てに絶望されている患者さんを、「やっぱり生きたい、死にたくない」という前向きな気持ちに変えさせていくことです。

前向きな気持ちに変えさせるために、患者さんとどんな会話をするのか説明する前に、まず日本の医療現場のがん告知に対する現状を話さなければなりません。本人にはあまり知らされることがなかった昔と違って、今はほとんどがん告知が行われています。これは大きな変化ですが、告知に当たって、日本は非常に冷淡と言うか、事務的だといわざるを得ません。外国では、がん告知が患者や家族の心に与える影響や、告知の仕方、がんと分かってうつ状態になった患者や家族への対応などを学び、臨床現場に生かしていくサイコオンコロジー(精神腫瘍学)という分野が最近、非常に伸びています。またセラピストの中には精神科医が必ず1人は含まれています。

日本の若い医師の中には、がん告知を行う時に「何をされても余命は3カ月、効果は2、30%ですよ。どうしますか」と、事務的な言い方をする人もいます。効果もなく苦しいだけと聞かされては、患者さんにがんと闘う意欲など出るはずもなく、そもそも治療も希望されません。そんな患者さんやその家族の方々が、残った唯一の「生への橋」として、ハイパーサーミアを探し出して来院される。しかし、それでもまだ絶望感でいっぱいなのです。ですので、こう言った患者さんには治療効果の説明よりも先に、治りたいという気持ちを持たせ、絶望を希望に変えていくことから始めなければなりません。

ハイパーサーミアを始めるに当たっては、治療効果の説明だけではなく、まず精神的な面に関してもいろいろな話をしています。治療中も、患者さんの趣味に関して尋ねるとか、今まで何が一番楽しかったのか、元気になったら何をしたいのかなど・・・。とにかく、患者さんとの対話を常に重視しています。医者として、患者さんの気持ちを安定させるための努力が大切だと考えて、実践しています。


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第3章 治療効果と精神的ケア
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