希望と生きがいをもって治療に取り組んでいる人は強い。 | ||||||||||
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◆がん治療で良い経過をたどる人、生き延びる人に共通する条件は何でしょうか。
ただし、何が何でもこうしなければと少し頑張りすぎている患者さんはストレスに陥ることが多いので、そのバランスが難しいのですが…。やることをやって、あとはもうお任せよ、といった微妙なバランスが大切です。頑固になってはいけないし、ポキッと折れずに、柔軟にいろいろ対応できる方、これをやってみようと好奇心をもって治療に取り組んでいる方、生きがいをもっている方には、強さを感じます。 研修医として勤務した虎の門病院は、かなりおおらかな病院で、丸山ワクチンを使用している方、プラセンタ療法をしている方、漢方の煎じ薬を持ち込んで飲んでいる方など、そこでお目にかかった患者さんの姿は、私にとってインパクトがありました。がんになっても元気な方がたくさんおられるので、あきらめずに、希望をもって取り組んでいただきたいと思います。 ◆サイモントン療法に力を入れている理由は? 例えば、末期の膵臓がんの患者さんがサイモントン療法により、元気になって社会復帰されるなど、奇跡のような回復の現場を見ています。患者さんとそのご家族などを24時間サポートする6日間プログラムでは、ご飯を食べられなかった人が食べられるようになる、酸素を吸引しながら車椅子で来られた患者さんが歩いて帰れるようになるなど、劇的な変化を経験しています。人ってすごいなあと思います。 サイモントン療法は、アメリカの放射線腫瘍医だったカール・サイモントン博士(1942〜2009)によって開発された、がん患者さんとそのサポーター(家族など)のための心のケアを提供する癒しのプログラムです。彼は、同じ治療をしても、その経過は教科書通りにいく患者さんもいれば教科書通りにいかない患者さんもいること、それは何が違うのかというところに注目しました。 そして、患者さんの精神状態、心理状態が、健康回復や治療効果に大きく影響していることを調べて、経験をもとに独自の心理療法を確立したのです。サイモントン療法は、心のもち方が最も大事であるという立場に立って、その患者さんにしっくりいく治療をしていくための支えになり、患者さんに生きる希望をもっていただく療法です。 要は、患者さん自身にも少し成長していただこう、自分でできることはやってもらおう、手取り足取りではなく患者さん自身が患者さんの足でちゃんと生きていくだけの道筋をつけていこう、という素晴らしい療法です。 がんになるまで、あなたは頑張り続けた。そこから少し軌道修正して、病気になった意味を考えていきましょう、本当に生きたい道に戻りましょう。それをサポートするのがサイモントン療法です。私は、NPO法人サイモントンジャパンが主催および協賛するプログラムで、認定カウンセラーとして指導に携わっています。 |
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