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■パネルディスカッション | |||
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◆がんの早期発見に有効な方法は。 中村 がんの種類によって、がんを発見する検査法は違う。肺がんだとCTが一番よい。胃がんだと内視鏡、肝臓や胆のうがんは超音波、子宮がんはMRI、前立腺がんは血液検査でTSAという数値を見ればよい。体の中のどこかにがんがあるかどうかを調べたいのなら、検査の値段は少々高くなるが、PET/CTを勧める。ただ、その頻度は、年に1回とか2年に1回といった程度でよいと思う。 ◆温熱療法はがんの痛みをどれだけやわらげることができるのか。 近藤 がんの痛みで一番きついのは骨に転移した場合だ。温熱をすると痛みが軽減し、麻薬を使う陵も減ってくる。がんがなぜ怖いかというと、がんの痛みや苦しみが怖いからだ。温熱療法をやっていて、調子が良くなり、さらに良くなると思っていてもやはり限界がある。ベッドで奥さんとテレビを見ていたら、そのまま眠るように息を引き取られた患者さんがいた。患者さんの命を救う、延命するのが医療だが、温熱療法や免疫療法を行うことで、静かに送ってあげられるようにするのも、医療ではないか。多くの患者さんを診てきてそう思う。 ◆温熱療法は全てのがんに有効か。 今田 脳の中で骨に囲まれている部分は難しいが、それ以外の部位は、放射線や抗がん剤、免疫と組み合わせればある程度の治療はできる。ただ、がんの種類だけでなく、病態が非常に重要だ。たとえば、肺がんで肝臓や骨にも転移している場合は、どこを加温するのかという問題がある。温熱療法の一番よい適用は、加温する部位だけに病変があるケースだ。 ◆原発性のがんで、肝転移やリンパ節転移がある場合は、温熱療法だけで治療ができるのか。また、リンパ節転移に対応する治療法は。 武田 転移についても温熱療法の効果はあるが、抗がん剤を併用するなど、本来すべき治療は行うべきだ。標準治療が無理な場合は、温熱療法だけでも効果はあるが、決して、標準治療に代わるものではない。リンパ節転移の治療として一番有効なのは樹状細胞を転移した場所に打ち込む方法だ。 ◆がんとはどこまで戦うべきか。 林 生き方は人それぞれで、いろいろな考え方があるが、がんの治療は非常に進歩している。集学的治療で、半年、あるは1年、2年と延命しておれば、その間にもしかしたら、がんが治る方法が見つかっているかもしれない。やはり希望は捨てず、可能な限り長生きしていくことが大切だと思う。
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