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大阪ガン免疫化学療法センター院長 元大阪大学医学部講師 武田  力  

特別講演
がんの集学的治療における温熱療法・免疫療法

大阪ガン免疫化学療法センター院長
元大阪大学医学部講師

武田  力

 

がんの集学的治療を考えた場合、手術、放射線治療、抗がん剤治療の標準的治療に何を追加したらよいのかは、再発した時に使える治療法を考えるべきだ。再度の手術は出来ない場合が多く、放射線治療も多発した病変にはなかなか照射できない。抗がん剤も副作用が強く、患者が耐えられないことがある。そうした場合に、選択肢として残るのが、確かな治療データがある免疫療法と温熱療法だ。この二つは副作用がないため、再発時でも十分使える。免疫療法では特に、樹状細胞ワクチンや活性化リンパ球療法が有効で、温熱療法は、抗がん剤、放射線、免疫各療法の効果をあげるので非常に有効だ。一時、温熱療法は局所的な治療法だと思われていたが、たとえば、足を加温した時に、肺転移の部分の腫瘍も消えることもあることもわかってきた。温熱による治療の過程で、免疫が関与していることもわかっている。

最初にがん細胞を認識する樹状細胞が「これががんだ」と教えると、リンパ球が増えてがんを攻撃する。このシステムがうまくいかないと、がんが発生する。温熱療法は、がんによって低下したがんの抗原提示機構を回復させ、リンパ球やNK細胞などの免疫細胞を増加、増強させていく。さらに、がんが免疫から逃れて成長するためのシステムを正常に戻し、本来の免疫機能を取り戻してくれる。

当センターでの症例のデータが666例あるが、このほとんどは再発して治療ができなくなった患者さんだが、完治例が11例。それも含めた有効症例は92例あった。免疫療法と温熱療法を併用した場合が多く、完治する患者が出てきたのも、温熱療法との併用を始めてからだ。オーストラリアから来られた大腸がんの全身転移の患者が、温熱療法と樹状細胞療法でがんが全て消えて、元気に帰国された例もある。

温熱療法と免疫療法は副作用もなく、繰り返し使用できる利点がある。温熱療法と免疫療法によって増強された生体防御機構は、局所にとどまらず全身のがん細胞の排除に有効に働くシステムとなる。

   

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