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特別講演「彷徨えるがん難民に救いの手を」 医療法人恒昭会藍野病院院長 |
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今、医師よりも患者さんや家族の間で、ハイパーサーミアへの関心が高まっている。手術、化学療法、放射線療法などの効果が薄れ、主治医の治療に対する意欲が衰えた時、患者さんはそれを敏感に察知し、免疫療法や代替療法を求めて彷徨(さまよ)い始める。いわゆる「がん難民」である。その中で、少数の人がハイパーサーミアにたどり着く。 全身麻酔下で行う「全身加温」の方法もあるが、健康保険は適用されない。われわれが行っている「局所加温」は、がんとその周辺を加温する方法で、健康保険が使えて多くの実績がある。副作用がなく、低容量の抗がん剤や放射線治療、免疫療法などとの併用で効果が上がる。 ハイパーサーミアは決して万能の治療法ではないが、腫瘍の原発巣や転移巣が長期にわたり増殖せず、静止したままの状態であれば、患者さんのQOLが良好に保たれ、長期生存が可能になる。この「がんの休眠療法」は、次第に臨床現場で受け入れられつつある。多くの進行がんの患者さんがぎりぎりまで家から通院され、ほとんど麻薬も使わずに、穏やかに最期を迎えられていることを知ってほしい。 |
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