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特別講演 「PET検査について−保険適用が拡大された新しいがん検査法」 医療法人康仁会メディカルプラザ薬師西の京PETセンター長 | |||
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PETの保険適応に関して、この春に素晴らしい改定があった。早期胃がんを除くすべてのがんを含めた悪性腫瘍で、「他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者(すでに診断されている患者)」に、保険が適応されるようになった。 さて、FDG-PET検査とはいったい何なのか? 基本的には、細胞のブドウ糖消費量をみる検査だ。がん細胞は正常細胞の3〜8倍のブドウ糖を消費するので、ブドウ糖の消費量を測ることにより、がんを見つけることができる。ブドウ糖の一部にフッ素を結合させた物質(FDG=ブドウ糖類似物質)をブドウ糖の代役として投与し、1時間安静にしてから、約20分間で全身画像を撮影する。 異常部位には薬剤(FDG)の強い集積が見られるが、正常でも薬剤の集まる部位(脳、咽頭周囲、心臓、肝臓、腎臓など)があり、時には消化管や筋肉にも集まる。それを判断するのが画像診断を専門にする私たちの役目だ。 PETは腫瘍検出能が高く、何よりも早期発見に有効である。自覚症状のない時に見つけなければ、検診としては意味がない。さらに、悪性度の判定、病期診断、再発転移や治療効果の判定にも有効。治療前と治療後の全身の比較ができる点も重要だ。見つかりにくい膵臓がんに対しても、PETによる発見率は高い。 ただし万能ではなく、悪性腫瘍以外の多数の病気には有効ではなく、泌尿器系のがんや早期胃がんに対しては分からないことが多い。そのために、私たちの施設ではPETだけではなく、他の検査法と組み合わせている。CTは胸部、腹部腫瘤性病変に強く、MRIは頭部疾患、泌尿生殖器系、ヘルニアなどの脊椎疾患に強い。超音波検査は腹部腫瘤性病変を見るのに有効だ。 PETでよく分かる悪性腫瘍を挙げると、肺がん、乳がん、大腸がん、頭頚部がん、膵臓がん、食道がん、子宮がん、卵巣がん、転移性肝がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、脳腫瘍、原発不明がんなど。保険制度が4月に改定され、早期胃がんを除くすべてのがん患者にPETの保険適応が可能になったことは朗報だ。 | ||||