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  ハイパーサーミア(がん温熱治療)  
   
 
福岡がん総合クリニック院長 九州大学医学部非常勤講師 森崎 隆氏  
II 部免疫細胞療法とハイパーサーミア
「未来がん治療〜『免疫』を考えた総合的がん治療の意味〜」

福岡がん総合クリニック院長
九州大学医学部非常勤講師

森崎 隆

 

当クリニックに来られる患者さんの中には、「もう打つ手がありません」と、末期宣告を受けた方々が多い。しかし「末期」というのは、医学的にちゃんとした定義があるわけではなく、「あと数日」ということがあっても、「あと半年が目安」などというのは医者の暴力的発言だと思う。

「手の施しようがない」と言われたら、緩和医療を受けるのも一つの選択肢ではある。しかし、「ひょっとしたら延命できるのではないか」と考えて、「あきらめないがん治療」「とことん延命治療」を選ぶこともできる。私が患者なら、「少しでも長生きしたい」と考えて手を尽くすだろう。

一例を挙げる。子宮体がん第4期の50代の女性で、子宮と卵巣摘出術後、抗がん剤治療を10コース施行。リンパ節転移で、別の抗がん剤治療を6コース。さらに膣に再発し、放射線治療を施行。肺とリンパ節に無数の転移が出現。これ以上の治療は不可能と判断され、ホスピスでの緩和医療を勧められた。当院で、分子標的薬や日本で承認されていない抗がん剤、免疫細胞療法などを組み合わせて治療した結果、肺の転移がほとんど消え、腫瘍マーカーも下がった。2年間、外来通院で元気に過ごされた。おそらくホスピスでは、1カ月もたない状況だっただろう。

免疫が働かないと放射線も抗がん剤も効きにくい。正常マウスにがんを移植し、放射線・抗がん剤治療をすると、がんは縮小する。しかし、免疫欠損マウスの場合は、同じ治療をしても、がんは縮小しない。放射線・抗がん剤がよく効いた症例の多くは、免疫機能がしっかりしている。

抗がん剤で死んだがん細胞を貪食する免疫細胞が、がん細胞の情報をうまく伝えられるかどうかは、がん治療を左右する重要な点であることも分かっている。

免疫細胞療法には、大きく分けてリンパ球療法と、がんワクチン療法がある。リンパ球療法は、がん細胞を攻撃できるようにリンパ球を強くし、数を増やして体に戻す方法。がんワクチン療法は、ワクチン(ペプチドワクチン、樹状細胞ワクチン)を体に入れることによって、体の中でがんをやっつけるリンパ球を増やす方法。

肺などに転移した小さながんであれば、免疫療法だけでも消失する場合がある。副作用の少ない抗がん剤と温熱療法、免疫療法を併用することにより、膵臓がんの肝転移や膀胱がんの再発などの場合でも、ほとんど消失または縮小した例がある。工夫次第では抗がん剤治療と免疫療法は、決して相いれない治療法ではない。

今後、経口の分子標的薬剤がどんどん開発されるとともに、標準治療と免疫療法の併用が進むだろう。また、治療だけでなく、手術後の再発予防のための免疫療法も広がると思われる。

   

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