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  ハイパーサーミア(がん温熱治療)  
   
 
特別講演2 医療法人社団自然会横浜サトウクリニック院長 佐藤 忍氏  
特別講演2
「免疫療法とハイパーサーミア〜温熱免疫監視療法・さらなる治療効果向上を目指して」

医療法人社団自然会
横浜サトウクリニック院長

佐藤  忍

 

免疫療法には、丸山ワクチン、LAK療法、NK細胞療法、ワクチン療法、樹状細胞療法などがあるが、私たちの実施する免疫監視療法は、がん患者さんに外から刺激を与え、患者さんが持っている攻撃的な免疫細胞を活性化させる治療法。がん患者さんの胸腹水の中に含まれているアルブミンというたんぱく質の中に、免疫細胞を活性化する特殊な物質があることがわかり、これを分離精製した生理活性物質「BRP」を静脈注射して、治療している。

この治療法は、すぐに効果は出ない。じっくり時間をかけて治療していくが、その代わり副作用はほとんどない。肝臓がんが両肺に転移した51歳の男性の症例を紹介する。この男性は手術で肝臓がんを取り除いたが、再発、転移して抗がん剤治療を受けていた。BRPを4週間に一度投与し、治療を続けたが、3カ月後は逆に肺の影は大きくなった。しかし、5カ月後には小さながん細胞がなくなり、9カ月後には大きながん細胞も小さくなってきた。その後も治療を継続し、3年11カ月で肺のがん細胞が消え、肝臓がんも消えた。私たちのやっている治療の最大の特徴は、短時間でがんを小さくする治療ではなく、ゆっくりと、なるべくがんが暴れないようにして、がんと共存するような治療だ。

私たちのところで3回以上治療を受けられた1991年から96年までの428例のデータがある。この患者さんたちは、再発して手術もできず、化学療法や放射線治療もしていない方だが、完治が3.7%、腫瘍が半分以下になった人は19.2%、不変が56%。この不変の中には、腫瘍マーカーが半分以下に下がった人たちが17.8%あった。それから5年経った2000年の生存者は31例で、進行でも2例の生存者があった。

免疫監視療法の治療効果を速めていく方法を模索してきたが、結論は温熱療法との併用になった。温熱療法で加温することで熱ショックタンパクを誘導し、がん細胞の抗原の発現率を高められる。さらにBRP投与で患者さんの抗原提示細胞を活性化させ、がんを攻撃するキラーTリンパ球などの誘導が可能となり、治療効果の出現が早めることができるなど、大きな相乗効果が期待できる。

   

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